エアコンにカビが生える原因とは?身体への影響や対処法を解説

エアコンは、夏場の厳しい暑さや冬場の凍える寒さへの対策に欠かせない家電製品であり、日々の生活を快適に送る上で必須アイテムです。

しかし、手入れを怠ると内部にカビが発生する可能性があります。カビの繁殖は、嫌な臭いをはじめ、健康被害や故障につながる可能性があるため注意が必要です。

そこで今回は、エアコンのカビが発生する原因や健康へのリスク、対処法と対策する際の注意点などを詳しく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、ご家庭のエアコンメンテナンスにお役立てください。

エアコンにカビが生える原因

エアコンにカビが生える原因として、以下の3点が挙げられます。

  • 気温が16~30℃
  • 湿度が70%以上
  • たまった汚れやホコリ

それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

気温が16~30℃

気温が16~30℃の環境は、カビが発生しやすくなる大きな原因の一つです。中でも、16〜30℃は特にカビが活発に活動する環境であるため、気温が高くなりやすい季節は特に注意が必要です。

カビは寒さに弱い性質があります。しかし、寒い冬であっても、エアコンを使用して部屋を温めることで、カビが発生しやすくなる条件がそろってしまいます。

湿度が70%以上

湿度が70%以上ある場合も、エアコンにカビが生えやすい環境です。

湿度が70%を超えるとカビが活発になり始め、80%を超えると繁殖速度が高まります。

また、冷房運転中のエアコン内は、熱交換器による結露が発生しているため多湿であり、カビが繁殖しやすい条件がそろっている状態です。

また、冬場では空気が乾燥しやすく、加湿器などを使用する場合も注意が必要です。

たまった汚れやホコリ

たまった汚れやホコリも、カビが発生しやすくなる原因として挙げられます。エアコンにたまった汚れやホコリはカビのエサとなり、繁殖を促してしまう可能性があるためです。

エアコンを運転している間、部屋の中の空気は常に循環しており、ホコリが舞っている状態です。エアコンはその空気を取り込んでいるため、エアコン内部に汚れやホコリが蓄積しやすくなります。

エアコンのカビを放置するリスク

エアコンにカビが発生していることを知っているものの、掃除が面倒で放置してしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、エアコンのカビを放置してしまうと、主に以下のリスクが考えられます。

  • エアコンの風がカビ臭くなる
  • 電気代が高くなる
  • 故障の原因になる
  • 健康被害が起きる

ここでは、それぞれのリスクについて解説します。

エアコンの風がカビ臭くなる

エアコン内部にカビが発生すると、吹き出し口からカビ臭い空気が部屋に放出されます。カビ臭い空気を室内に循環させると快適性が損なわれるだけでなく、後述するような身体への影響を及ぼす可能性もあります。

カビの臭いを感じたら、すぐにクリーニングを行い、カビの原因を取り除く必要があるでしょう。

電気代が高くなる

エアコンにカビが発生すると熱交換器や送風ファンの機能が低下し、必要以上の電力を消費してしまうため、電気代が高くなるリスクがあります。

カビによって熱交換が阻害されると、設定温度に到達するまでに時間がかかります。その結果、「部屋がなかなか冷えなくて暑い」「30分運転しているけど暖かくならない」などの状態に陥り、稼働時間が長くなってしまいがちです。

故障の原因になる

カビを放置すると、エアコンが故障してしまう原因にもなりかねません。

エアコン内部のカビは、機械部品の腐食やドレンホースの目詰まりを引き起こし、さまざまな故障の原因になります。最悪の場合、高額な費用を払ってエアコンを交換しなければならなくなります。真夏や真冬にエアコンが故障してしまうと、暑さ寒さによる健康リスクが高まるため、カビの放置はおすすめできません。

健康被害が起きる

エアコンのカビを吸い込んでしまうと、さまざまな健康被害を引き起こす可能性があります。特に乳幼児や高齢者、アレルギー体質の方は注意が必要です。

カビを発見したら、健康被害が起こる前に対処するようにしてください。具体的な健康被害については次の項目で詳しく解説します。

エアコンのカビが引き起こす身体への影響

エアコンのカビが引き起こす身体への悪影響として、主に以下の5つが挙げられます。

  • アレルギー症状
  • 喘息の悪化
  • アトピーの悪化
  • 肌荒れ

これらの症状が表れた場合、カビによる影響の可能性があるので注意しましょう。

以下の項目で詳しく解説していきます。

エアコンのカビによる咳は、エアコンのカビが原因で起こる症状の一つです。カビの胞子を吸い込むと気道に炎症が起き、咳が出やすくなります。

また、咳に加えて、喉が「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などのように鳴る喘鳴(ぜんめい)や息切れなども伴う場合があります。

アレルギー症状

エアコンに発生したカビの影響で、上述した咳の他に鼻水やくしゃみ、目のかゆみ、頭痛などのアレルギー症状が出る場合があります。カビの胞子やカビ自体に対するアレルギー反応によって引き起こされる症状です。

症状が軽ければ鼻炎薬や目薬、のど飴、鎮痛剤などでも対処できますが、根本的な解決のためにはエアコンのカビを除去することが重要です。

カビの量が多ければ多いほど症状は顕著に出る傾向にあります。症状が中長期的に改善しない場合は、医師へ相談しましょう。

喘息の悪化

喘息の悪化も、エアコンのカビが引き起こす身体への影響の一つです。

喘息を患っている方にとって、エアコンのカビは重大な危険因子です。喘息の方がカビの胞子を吸い込むと、咳をはじめ、呼吸困難や発作などの症状を引き起こし、喘息を悪化させます。症状が悪化すれば酸素欠乏により意識を失うリスクもあり、最悪の場合は命に関わります。

喘息患者の方の場合はカビに人一倍反応してしまうため、エアコンのカビ対策は必須です。定期的なクリーニングで清潔な環境を保ち、カビの発生を最小限に抑えるようにしましょう。

アトピーの悪化

アトピーの悪化も、エアコンのカビが引き起こす体への影響の一つです。

カビの胞子は強いアレルギー物質です。エアコンの風によって皮膚に付着するとかゆみや湿疹を悪化させます。免疫力の低い子どもは特に影響を受けやすく、炎症や睡眠障害の原因にもなるため注意しなければなりません。

肌荒れ

エアコンのカビは、肌荒れも引き起こします。アトピー性皮膚炎の項目と同様、カビの胞子が室内に浮遊することで皮膚に付着し、かゆみや湿疹、腫れなどの症状が起こる可能性があります。

また、有毒なカビを長期間吸い続けると、皮膚真菌症などの深刻な症状にもつながるリスクも考えられます。

エアコンのカビが生えやすい場所とは?

次に、エアコンの中で特にカビが生えやすい場所を解説します。

エアコンのカビが生えやすい場所として、主に以下の3箇所が挙げられます。

  • ドレンパン
  • 送風ファン
  • 吹き出し口

以下の項目で確認していきましょう。

ドレンパン

ドレンパンとは、エアコンが室内の空気を冷やす過程で発生した水分(結露)を受け取るトレイのことを指します。ドレンパンは湿った環境とホコリや汚れが重なるため、カビが発生しやすくなります。発生したカビをそのまま放置していると、ドレンホースが詰まってしまい、結露水を外に排出できなくなって状況はさらに悪化してしまう可能性もあります。

送風ファン

送風ファンは、エアコン吹き出し口の奥にある筒状の形をした部品を指します。 送風ファンが回転することで、エアコン内部の風が室内に送り出されるのです。 冷房が稼働しているときは冷たい空気、暖房が稼働しているときは温かい空気を送り出します。上述したドレンパンでカビが発生すると風に乗って送風ファンに移動し、室内へカビを広げてしまいます。

また、送風ファン自体も湿った環境にさらされており、近くにあるアルミフィンの影響で高温多湿になりやすいです。その環境に加えてホコリなどもたまりやすいため、カビの温床となる可能性が高いでしょう。

吹き出し口

ドレンパンや送風ファンのカビは、吹き出し口にも付着することが多く、カビが付着しやすい場所と言えます。

吹き出し口ではカビを目視で確認しやすく、黒い点のような汚れがあればカビの可能性があります。カビ臭も感じやすいため、比較的簡単に発見することが可能です。

ただし、吹き出し口にカビが発生しているということは、その奥にあるドレンパンや送風ファンにもカビが繁殖している可能性があり、エアコン内がカビに浸食されていることも考えられます。

エアコンのカビへの対処法

エアコンにカビを発生させない対処法として、以下の2点を押さえておきましょう。

  • 自分でエアコンを掃除する
  • 業者にエアコンクリーニングを依頼する

それぞれの対処法を詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

自分でエアコンを掃除する

エアコンにカビが生えている場合、自分でエアコン掃除をすることが可能です。

必ずエアコンに付属していた取扱説明書を読み、注意事項ややってはいけないことを事前に確認してください。

自分でエアコンを掃除する際の大まかな手順は以下の通りです。

  1. エアコンの電源を切り、コンセントから電源プラグとアース線を抜く
  2. 取り外し可能な部品を外し、壁や天井などが汚れないようにビニール袋で覆う
  3. フィルターなどに付着しているホコリなどを掃除機で吸い取り、細かい汚れは歯ブラシなどで取り除く
  4. 水で薄めた中性洗剤を染み込ませた雑巾でエアコンを掃除する
  5. きれいな雑巾で水拭きし、しっかりと乾燥させる

掃除を終えたあとは試運転を行い、異常がないことを確認しましょう。

自分で行うエアコン掃除に関しては、以下の記事でより詳しく解説しています。

自分で簡単にできるエアコン掃除とは?掃除手順や必要な道具を解説

業者にエアコンクリーニングを依頼する

エアコンのカビ対策として、自分でエアコン掃除を行うことは簡単ではありません。カビの完全除去と安全面を考える場合は、プロの業者に依頼するのがおすすめです。

自分で行う際は道具が不十分で作業に関する知識や技術が乏しく、カビの除去が不完全になりがちです。それだけでなく、慣れていない方が部品の取り外しを行うと故障の原因になりかねません。

一方、業者によるクリーニングなら、専用の道具を使用し、確実な作業手順で分解・組立をしてくれます。一般家庭では手の届かない箇所までしっかりと掃除してくれるでしょう。

カビの健康被害を防ぎ、エアコンの長寿命化のためにも、信頼できる業者への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。

業者によるエアコンクリーニングについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

エアコンクリーニングは業者に依頼すべき?おすすめの選び方や値段相場など徹底解説

エアコンのカビ対策を行う際の注意点

エアコンのカビ対策を行う際、押さえておくべき注意点が存在します。

  • 取扱説明書をよく確認する
  • カビ防止スプレーを使用する際は注意が必要
  • 事前にドレンホースの詰まりを確認する
  • 必ず作業後に試運転をする

ここでは、それぞれの注意点を詳しく解説します。

取扱説明書をよく確認する

エアコンのカビ対策を行う際は、取扱説明書をよく確認することが大切です。

なぜなら、取扱説明書をよく読まず、自己流でカビ対策を行ってしまうと、エアコンの故障や思わぬケガにつながる可能性があるからです。また、取扱説明書には、カビの原因や発生しやすい場所や適切な対処法、注意事項などが記載されていることも多いため、メーカーが推奨している方法で適切な対処を行うことが重要と言えます。

エアコンのカビ対策を行う際は取扱説明書の内容を理解し、指示に従って丁寧に作業を行うようにしましょう。

カビ防止スプレーを使用する際は注意が必要

市販品のカビ防止スプレーの使用を考える方は多いですが、使用時には注意しましょう。なぜなら、誤ってコンセントやエアコン内部の電装部分に噴射してしまうと、故障してしまったり発火したりなどの事故や故障の原因になるからです。

また、誤った使い方をするとカビ防止スプレーの薬剤を吸い込んでしまい、健康被害につながる可能性もあります。

カビ防止スプレーを使用する前に一度成分や使用目的を確認し、換気をしながらマスクなどの保護具を着用した上で使用するようにしてください。

事前にドレンホースの詰まりを確認する

事前にドレンホースが詰まっていないか確認することも、押さえておくべきポイントの一つです。ドレンホースは、エアコン稼働時に発生した水を排出する部分です。掃除中に出た水もドレンホースから排出されます。

ドレンホースが詰まっているとエアコン内部の水が排出されず、中にたまってカビの温床になったり水漏れが発生したりといった不具合の原因になります。

エアコンのカビ対策を行う前に一度ドレンホースをチェックし、ゴミなどが詰まっていないかを確認するようにしましょう。

必ず作業後に試運転をする

エアコンのカビ対策を行ったあとは必ず試運転を行い、稼働時に嫌な臭いや異音がしないか確認してください。

嫌な臭いがする場合は、自分では拭いきれないカビや汚れが残っている可能性があり、異音がする場合は部品が正しい位置にセットされていない可能性があります。

万が一、嫌な臭いや異音がする場合、自分では対応しきれない汚れや内部の異常と考え、業者にクリーニングを依頼するのが無難でしょう。

エアコンのカビ防止対策

エアコンのカビ防止対策を知り、そもそもカビが生えないようにしたいと考える方も多いかと思います。

さまざまな対策がありますが、その中でも効果が期待できるのは以下の5つです。

  • 運転後に内部クリーンや1時間の送風運転をする
  • 使わない時期も月に1回送風運転する
  • 部屋の換気を定期的に行う
  • 2週間に1度フィルター掃除をする
  • 部屋全体の湿度を下げる

ここでは、効果的なカビ防止対策を紹介するので、ぜひ役立ててください。

運転後に内部クリーンや1時間の送風運転をする

エアコンの使用後は、内部クリーンや約1時間の送風運転を行いましょう。この作業により、エアコン内部の湿度を下げ、乾燥させることができます。

特に夏場の冷房運転は内部に結露がたまりやすく、湿度が高くなりがちです。冷房を使用したあとは、内部クリーンや送風運転で湿気をしっかり取り除くことをおすすめします。

使わない時期も月に1回送風運転する

エアコンを長期間使用しない季節でも、月に1回程度は送風運転を行うことがカビ対策において重要です。送風運転により、エアコン内部にたまった湿気を除去し、カビの温床となる水分を除くことができるためです。

また、内部の空気循環を促進すれば、湿気の滞留を防いでカビの発生リスクも下げることが可能です。

エアコンを快適に使い続けるためにも、こまめな送風運転を心がけましょう。

部屋の換気を定期的に行う

部屋の換気も、エアコンのカビ対策に重要な役割を果たします。こまめな換気は部屋の湿度を下げ、カビの胞子や室内のホコリを外に排出する働きがあります。

また、換気をすれば新鮮な空気も取り入れられるため、部屋内の空気の質を一定以上に保つことが可能です。

部屋の換気を行う際は、換気扇も併用すればより効果的な換気を行うことができるためおすすめです。

2週間に1度フィルター掃除をする

エアコンのフィルターは、ホコリやチリ、ハウスダストなどを取り除く役割を担っています。そのため、フィルターは汚れやすく、定期的なフィルター掃除が欠かせません。

汚れたフィルターをそのまま放置してしまうと、付着したホコリやチリをエサにカビが繁殖する恐れがあります。それだけでなく、ホコリの詰まりなどで空気の循環が悪くなり、冷暖房の効きが悪くなってしまう可能性もあります。

フィルターの手入れは、2週間に1度程度のペースで掃除機などできれいにすると良いでしょう。

部屋全体の湿度を下げる

適切な湿度管理は、エアコンのカビ防止対策として有効です。除湿機の活用やこまめな換気を行うことで部屋全体の湿度を下げられ、カビの発生を予防できます。

一方、洗濯物の室内干しや加湿器の使用、植物の水やりなどは部屋の湿度を高めてしまうので注意してください。

日頃から部屋の湿度管理に気を配り、部屋全体の湿度が高くならないように工夫しましょう。

エアコンのカビを自力で完全に除去するのは難しいため、業者に委託しよう

エアコンの内部にカビが発生した場合、自力で完全に除去するのは困難です。慣れていない方がカビ掃除を行ってもドレンパンや送風ファンなどに手が届きにくく、きちんと掃除するのは難しいかもしれません。

自分でできる範囲の掃除ももちろん大切ですが、エアコン内部のカビ対策は専門の知識や技術を持つ業者に依頼するのが確実です。プロの業者なら隅々までカビを除去し、再発防止対策も適切に行ってくれます。

健康被害のリスクも避けられるため、エアコンのカビ問題は業者に委託することをおすすめします。

まとめ

エアコンは日常的に使用する家電製品です。しかし、気温や湿度、たまった汚れやホコリなどが原因でエアコン内部にカビが生えてしまうことは少なくありません。

エアコンのカビは不快な臭いだけでなく、健康被害の原因にもなりかねないため、早期の対策が重要です。

エアコンのカビ掃除は自力で行うことも可能ですが、ドレンパンや送風ファンなどには手が届きにくく、きれいにカビを取り除くのは簡単ではありません。徹底的にきれいにしたいと考えている場合は、プロの業者に依頼するのがおすすめです。

快適な生活を送るためにも定期的にエアコンの掃除を行い、カビの発生を防ぎましょう。